Connecting the Dots

米国証券法、デリバティブ、香港証券市場について学んだことを書いていきます。当ブログは法的アドバイスを提供するものではありません。ブログ中の意見にわたる部分は個人的見解であり、私が所属する事務所の見解を述べるものではありません。

そろそろ復帰しようかな。。

1年以上更新せずに久しぶりにログインしてみると、なぜかアクセス数が2万近くになっていて驚愕しました。本音を言えばボケ防止ぐらいの軽い気持ちではじめたブログなので、そんなに見られたと思うと、なんか怖い。。 怖いと同時に、こんなブログでも訪問し…

担保法制の改定‐担保権者が担保物を処分してよいか?

2014年3月15日号金融・商事判例の渡辺先生(早稲田)の商事判例研究を読んで、改めて日本版CSAの担保余剰部分の返還請求についての改定が必要だなと感じました。 デリバのカウンターパーティーリスクの対処方法としては、 ① 清算機関を通して清算する ② …

LIBOR やTIBOR は消滅するとISDAはどうなるのか

LIBOR やTIBORなどの金融指標については世界的に規制が進んでいます。最終的にどのような規制となるかは現段階では不明ですが、改革がなされると、対象となる金融指標に言及している契約書は少なからず影響をうけることになります。特に、デリバティブ取引に…

TIBORの規制について

LIBOR やTIBORの不正操作をうけて金融指標の規制が進んでいます。日本では、2013年12月25日付で「金融指標の規制のあり方に関する検討会」という報告書が公表されています。 上記報告書は、2013年7月の証券監督者国際機構(IOSCO)が公表した金融指標に関す…

UK のBanking Reform Act

2014年の前半に英国のBanking Reform Act(改正銀行法)が施行される予定です。主要な改正点は、当局のベイルイン・オプションの導入と商業銀行と投資銀行の業務分離(リングフェンス)です。 ベイルイン・オプションが発動される条件は下記の3つとされていま…

カバード・ボンドについて

カバード・ボンドとは金融機関の貸付債権を担保として発行される債券のことです。債権担保付社債と訳されることもあります。日本では、カバード・ボンドというと聞き慣れないかもしれませんが、欧州ではかなり普及している債券です。 1 特徴 ① 二重リコース…

US のスワップ規制によりスワップ取引量が減少

ISDAのレポートによれば、USのスワップ規制のためEUとUSとのスワップ取引量が77%近く減少しているようです。本日のFTの記事にも載っていました。 主な原因はCFTCが規定したUS personの定義が広すぎるのが影響したようです。CFTCはやはりUS Personの定義…

調達資金の使い道をきっちり開示―アーバンコーポレーション事件で思うこと

アーバンコーポレーションの役員に対する株主訴訟判決を読みました。 感じたのは、クライアントにいい顔ばっかりしていたら弁護士生命を断たれかなないなということです。 争点は、アーバンが新株予約権付社債(CB)を発行する際に虚偽記載をしたのではな…

デリバティブ取引の当初価値がマイナスなことについて

デリバティブ取引の当初価値が金融機関の手数料やマージンの関係上、顧客にマイナスに設計されていることは何度か書いたと思います。 銀行関係者はマイナスであることは当然だし何も悪くないと言います。確かに、当初価値がマイナスであることについては、銀…

イギリスの中央銀行の力が強くなり、名前がややこしくなる

今日のテーマはイギリスの金融当局についてです。 2013年4月、英金融サービス法の施行により、UK FSAが廃止され、イギリスの金融当局が、FPC (Financial Policy Committee) PRA (Prudential Regulatory Authority) FCA (Financial Conduct Authority)とに分…

駒沢VSドイツ証券-デリバ訴訟

駒沢大学が、ドイツ証券に対し、デリバティブ取引によって約69億円の損失を蒙ったとして損害賠償請求をした事件の判決を読みました(東京地裁平成25年4月16日)。 結果は、駒沢が敗訴し、現在控訴中のようです。 本裁判において駒沢が突破すべき第一…

ボルカー・ルールと日本のファイアーウォール規制について考える

ボルカー・ルールは、銀行が投機的取引を行うことを禁止すること及び銀行のファンドとの提携禁止をその内容としています。ボルカールールの細かな内容については、他のサイトでも紹介されているので、今回は日本の規制と比較しながら、ボルカー・ルールのよ…

ロンドンの鯨について

2013年12月10日に、FRBなどが銀行の自己勘定取引を制限するボルカールールの最終案を公表したそうですが、業務が忙しくまだ読めていません。 今回は、ボルカールールの最終案公表を受けて改めて、ボルカールールによる規制をより後押しするきっかけとなった…

香港における動産担保

香港における動産担保の取り扱いについてよくまとまったサイトを見つけました。 1 香港における動産担保 香港法における動産は、機械類、棚卸資産や船及び飛行機が含まれます。 担保の取り方について、整理すると下記のようになります。 担保の種類 性質 対…

香港M&A について

香港で事業を始めた日本人の方にお会いする機会がでてきました。私の専門はファイナンス・キャピタルマーケットですが、現在、香港M&Aについても興味をもったので勉強しています。 1 合併制度がない! 香港会社条例においては合併の制度が準備されておらず…

金融用語の整理

証券業務をやっていると多くの金融経済用語の頭字語に出くわして、時々これってどういう意味だったっけと分からなくなります。そこで、備忘用に下記まとめてみました。 略語 正式名称 日本語訳 コメント FRB Federal Reserve Board 連邦準備制度理事会 中央…

CSAに基づき差入れられた担保物の分別管理義務について

リーマンが破綻した際に、リーマンに預けた保護預かり有価証券がどこに行ってしまったか分からなくなり、保護預り有価証券の返却がうまくいかなかったと言われています。 その経験を踏まえて2010年に金商法が改正され、デリバティブ取引に関し金融商品取引業…

ISDA がCFTCを訴える

2013年12月4日、ISDA、SIFAやIIBがCFTCの作ったルールが気にくわなかったみたいで、CFTCが行政手続法(Administrative Procedure Act)に違反してルールを策定したとして訴えを提起したそうです。なお、ISDAがCFTCを以前にも訴えたことがあり、その件ではISD…

CDS市場における競争法違反―ISDA vs Salix

ISDAがNY州南部地区裁判所において、Salixという会社から、CDS市場を不正操作をしたとして訴えられています。http://www.law360.com/articles/492314/isda-bashes-quinn-s-bid-to-dodge-dq-in-swaps-rigging-suits?article_related_content=1 Salixの主張は…

ISDA Cross-Agreement Bridgeとは

預金取引、債権レポ取引、債券現物取引などは、取引の性質上、ISDA Master Agreementの対象とできない取引とされていることから、実務上は、Oversea Securities Lender Agreement(OSLA)やGlobal Master Securities Lending Agreement(GMSLA)などのISDA Maste…

ISDA Close-Out Amount Protocolについて

1 ISDA プロトコル(Protocol)とは プロトコル(Protocol)とは、複数の者が対象となる事項を確実に実行するための手順を定めたものをいうとされています。ISDAプロトコルにおいては、プロトコルに参加する当事者同士が契約を締結する場合には、適用のある…

デリバティブ取引の時価評価の説目義務について―東京地裁平成24年9月11日

デリバティブの適合原則・説明義務違反による訴訟は、一時期、過払い訴訟のような過熱ぶりを見せていたようですが、おそらく後数年もすれば落ち着きを取り戻してくると思われます。取引時点から証券会社が何億円も得するような、詐欺まがいのデリバティブ商…

Inter Affiliate Set Off条項を有効とみとめた事例―東京地裁平成25年5月30日

先日Inter Affiliate Set Off条項について管財人から争われた場合には否認される可能性が高いとの記事を書きましたが、お恥ずかしながら、東京地裁の判決でInter Affiliate Set Off条項の有効性を認める判断が出ました。控訴されていますが、確定した場合に…

清算集中(CCP)の法的構成について

2011年にCDS、2012年にIRSへとデリバティブ取引の清算集中取引が拡大していることから、デリバティブを学ぶ者として清算集中について何度か書こうと試みました。しかし、自分の中で中々整理できてなかったので先延ばしにしていました。。 本音をいえば未だに…

CSAのおける現金担保の取り方

CSAにおいて現金を担保として利用することがありますが、質権構成と消費貸借の構成のどちらがよいのでしょうか。 1 質権構成における現金担保の取り方 ①対抗要件の取り方 質権構成においても現金を担保にとることができます。この場合、質権設定者名義の口…

Regulation FD について

米国証券法にはRegulation FDという、公表前に重要な非公開情報をアナリストや一部の株主などに開示することを禁止するルールがあります。一部の者にだけ重要情報が伝わることによってインサイダー取引が誘発することを防止する機能があります。ポイントは、…

ISDA ScheduleにおけるInter Affiliate Set Off 条項の有効性について

ISDA ScheduleをReview していると、たまにInter Affiliate Set Off条項が入っているScheduleを目にします。通常のSet off条項はデリバティブ取引の当事者の債権・債務の相殺を目的とするものですが、Inter Affiliate Set Off条項では、デリバティブ取引の当…

韓国でEquity-link Derivativeの取引高が激減

2013年11月12日のFinancial Timesに、当局のデリバティブ取引の取り締まりを強化したことにより、韓国のデリバティブ市場が著しく縮小しているとの記事がありました。 韓国においてデリバティブ取引の規制が強化された背景には、デリバティブの市場が極めて…

BCBSおよびIOSCO発表の証拠金規制について

2012年7月にバーゼル銀行監督委員会(BCBS)および証券監督者国際機構(IOSCO)がデリバティブ取引の証拠金規制の市中協議書を公表しました。 1 証拠金規制の概要 市中協議書においては、ポテンシャル・エクスポージャーを反映させた当初証拠金(Initial Ma…

CFTC  ブローカーによる超過証拠金の使用を禁じる

2013年10月30日、米商品先物取引委員会(CFTC)は、ブロカーが顧客から預かった証拠金の使用することを禁じるルールを採用しました。 従前、顧客から預かった証拠金のうち当該顧客に対するエクスポージャーを超過する部分については、特段規制ルールがなく、…