Connecting the Dots

米国証券法、デリバティブ、香港証券市場について学んだことを書いていきます。当ブログは法的アドバイスを提供するものではありません。ブログ中の意見にわたる部分は個人的見解であり、私が所属する事務所の見解を述べるものではありません。

2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ISDA Cross-Agreement Bridgeとは

預金取引、債権レポ取引、債券現物取引などは、取引の性質上、ISDA Master Agreementの対象とできない取引とされていることから、実務上は、Oversea Securities Lender Agreement(OSLA)やGlobal Master Securities Lending Agreement(GMSLA)などのISDA Maste…

ISDA Close-Out Amount Protocolについて

1 ISDA プロトコル(Protocol)とは プロトコル(Protocol)とは、複数の者が対象となる事項を確実に実行するための手順を定めたものをいうとされています。ISDAプロトコルにおいては、プロトコルに参加する当事者同士が契約を締結する場合には、適用のある…

デリバティブ取引の時価評価の説目義務について―東京地裁平成24年9月11日

デリバティブの適合原則・説明義務違反による訴訟は、一時期、過払い訴訟のような過熱ぶりを見せていたようですが、おそらく後数年もすれば落ち着きを取り戻してくると思われます。取引時点から証券会社が何億円も得するような、詐欺まがいのデリバティブ商…

Inter Affiliate Set Off条項を有効とみとめた事例―東京地裁平成25年5月30日

先日Inter Affiliate Set Off条項について管財人から争われた場合には否認される可能性が高いとの記事を書きましたが、お恥ずかしながら、東京地裁の判決でInter Affiliate Set Off条項の有効性を認める判断が出ました。控訴されていますが、確定した場合に…

清算集中(CCP)の法的構成について

2011年にCDS、2012年にIRSへとデリバティブ取引の清算集中取引が拡大していることから、デリバティブを学ぶ者として清算集中について何度か書こうと試みました。しかし、自分の中で中々整理できてなかったので先延ばしにしていました。。 本音をいえば未だに…

CSAのおける現金担保の取り方

CSAにおいて現金を担保として利用することがありますが、質権構成と消費貸借の構成のどちらがよいのでしょうか。 1 質権構成における現金担保の取り方 ①対抗要件の取り方 質権構成においても現金を担保にとることができます。この場合、質権設定者名義の口…

Regulation FD について

米国証券法にはRegulation FDという、公表前に重要な非公開情報をアナリストや一部の株主などに開示することを禁止するルールがあります。一部の者にだけ重要情報が伝わることによってインサイダー取引が誘発することを防止する機能があります。ポイントは、…

ISDA ScheduleにおけるInter Affiliate Set Off 条項の有効性について

ISDA ScheduleをReview していると、たまにInter Affiliate Set Off条項が入っているScheduleを目にします。通常のSet off条項はデリバティブ取引の当事者の債権・債務の相殺を目的とするものですが、Inter Affiliate Set Off条項では、デリバティブ取引の当…

韓国でEquity-link Derivativeの取引高が激減

2013年11月12日のFinancial Timesに、当局のデリバティブ取引の取り締まりを強化したことにより、韓国のデリバティブ市場が著しく縮小しているとの記事がありました。 韓国においてデリバティブ取引の規制が強化された背景には、デリバティブの市場が極めて…

BCBSおよびIOSCO発表の証拠金規制について

2012年7月にバーゼル銀行監督委員会(BCBS)および証券監督者国際機構(IOSCO)がデリバティブ取引の証拠金規制の市中協議書を公表しました。 1 証拠金規制の概要 市中協議書においては、ポテンシャル・エクスポージャーを反映させた当初証拠金(Initial Ma…