Connecting the Dots

米国証券法、デリバティブ、香港証券市場について学んだことを書いていきます。当ブログは法的アドバイスを提供するものではありません。ブログ中の意見にわたる部分は個人的見解であり、私が所属する事務所の見解を述べるものではありません。

日本 金商法

TIBORの規制について

LIBOR やTIBORの不正操作をうけて金融指標の規制が進んでいます。日本では、2013年12月25日付で「金融指標の規制のあり方に関する検討会」という報告書が公表されています。 上記報告書は、2013年7月の証券監督者国際機構(IOSCO)が公表した金融指標に関す…

UK のBanking Reform Act

2014年の前半に英国のBanking Reform Act(改正銀行法)が施行される予定です。主要な改正点は、当局のベイルイン・オプションの導入と商業銀行と投資銀行の業務分離(リングフェンス)です。 ベイルイン・オプションが発動される条件は下記の3つとされていま…

カバード・ボンドについて

カバード・ボンドとは金融機関の貸付債権を担保として発行される債券のことです。債権担保付社債と訳されることもあります。日本では、カバード・ボンドというと聞き慣れないかもしれませんが、欧州ではかなり普及している債券です。 1 特徴 ① 二重リコース…

調達資金の使い道をきっちり開示―アーバンコーポレーション事件で思うこと

アーバンコーポレーションの役員に対する株主訴訟判決を読みました。 感じたのは、クライアントにいい顔ばっかりしていたら弁護士生命を断たれかなないなということです。 争点は、アーバンが新株予約権付社債(CB)を発行する際に虚偽記載をしたのではな…

イギリスの中央銀行の力が強くなり、名前がややこしくなる

今日のテーマはイギリスの金融当局についてです。 2013年4月、英金融サービス法の施行により、UK FSAが廃止され、イギリスの金融当局が、FPC (Financial Policy Committee) PRA (Prudential Regulatory Authority) FCA (Financial Conduct Authority)とに分…

金融用語の整理

証券業務をやっていると多くの金融経済用語の頭字語に出くわして、時々これってどういう意味だったっけと分からなくなります。そこで、備忘用に下記まとめてみました。 略語 正式名称 日本語訳 コメント FRB Federal Reserve Board 連邦準備制度理事会 中央…

投資信託の現状ついて―優秀なファンドマネージャーの育成が必要では?!

投資信託とは、個人投資家から小口のお金を集めて、その集まったお金を投資のプロが投資テクニックを駆使したり、個人投資家が投資できないような海外金融商品に投資をし、その結果収益が上がった場合には投資家にリターンを還元するというものです。 1 投…

株式増資局面における待機期間の撤廃について

2013年10月25日金融庁発表の資料によると、増資局面において待機期間を撤廃しようという議論が行われています。 1 待機期間とは 有価証券の募集・売出しを行う場合、有価証券届出書を提出した日から、実際に売り付けができるまで、待機期間が金商法上設けら…

サムライ債やユーロCBは会社法の「社債」といえるか?

クロスボーダー案件においては、日本の会社が海外で資金調達をすることや(内→外)、海外の会社が日本で資金調達をすること(外→内)があります。 ここで日本の会社や海外の会社が発行する債券が、会社法上の「社債」に該当するのかが大きな問題となります。…

2013年 銀行法13条改正による大口信用供与規制の見直し

2013年6月12日銀行法の改正により、大口信用供与規制の見直しが行われました。ただ、法改正は、信用供与規制を強化するという大枠しか定まっておらず、細かな規制については府令や政令を通して策定されることになります。 1 大口信用供与規制の趣旨 …

ベイルイン (Bail In)導入について

2013年6月12日、預金保険法が改正されました。預金保険法は、行政主導(預金保険機構)による破綻金融機関を救済方法について規定しています。金融機関が破綻しそうな場合には、影響が大きいので裁判所にいきなり突撃ということは通常ありません。例えば、20…

外国銀行支店の預金者保護

外国銀行支店に預けている預金は、外国銀行が破綻した時に預金保険で保護されるのでしょうか。答えは、ノーです。外銀支店に預けている預金は、預金保険の対象から外れています。2013年1月28日の金融庁の発表でも、外銀支店の預金保護は見送られました。 ち…

日本版JOBS法?−クラウドファンディング規制の導入について

2013年6月26日から、金融庁でクラウドファンディングの導入について検討がなされています。クラウドファンディング(Crowd Funding)とは、新興企業がインターネットを通じて、多数の投資家から少額ずつ集める仕組みをいいます。2012年に米国でクラ…

日本版スチュワードシップコードの導入について

平成25年8月6日から金融庁において、「日本版スチュワードシップ・コード」の導入について検討が開始されています。スチュワードシップといっても、聞き慣れない言葉で、私自身すんなり頭に入ってこず、Googleで調べようと際に「スチュワーデス」・コー…

サムライ債デフォルトから個人投資家を守れ

大分昔の話ですが、アルゼンチンが2001年にデフォルト宣言したのを覚えていますでしょうか。当時、アルゼンチンは日本の投資家に向けてサムライ債を発行していました。日本のサムライ債投資家は、アルゼンチンが「お金は2割程度しか返さないよ」と言っ…

空売りにおけるUptick Ruleの改正

2013年11月5日から空売り規制が改正されます。 改正点は次の3つです。①空売り規制がPTS(Proprietary Trading System)取引に拡大、②空売りのポジションの報告義務が緻密化、③Uptick Ruleにおいて、Trigger Featureを採用。 今回は改正の中でもUptick Rule…