米のデフォルトにより米国債CDSのCredit Eventが発生するか?
米国債CDSのコストが急上昇しているそうです。それに伴い、2013年10月11日のBloomberg TVで、ISDA General Counsel であるDavid Greenさんがどういった事実が米国債CDSのCredit Eventに該当するかについて述べていました。
1 誰がCredit Eventを判断するの?
Credit Determination CommitteeがCredit Event に該当するか否かを決定します。Credit Determination Committeeには10社のDealerの人たちが投票権をもっているようです。
そこで、質問者から、Dealerはそれぞれ米国債のCDSのポジションを有しているのだから、自社の利益によって投票行動を起すリスクがあり利益相反ではないかという指摘がありました。それに対しては、利害関係の大きいDealerがいたとしても、そのDealerだけで結果を左右することはないので問題ないと答えていました。
個人的にはあまり納得できないですね。あきらかに利益相反がある気がします。。。ある事実の発生が、Credit Eventにあたるか否かというのはそれほどテクニカルな話ではなく解釈論だと思うので、利害関係のない外部の単弁護士や会計士などに完全にお任せしてしまってもいいような気がします。
2 連邦政府のBondの利息や元本以外の支払い(医療費、公務員への給料)などの支払いがなされなかった場合に、それはCredit Eventに該当するのか?
これが一番みんなが気にしているポイントじゃないでしょうか。
David Greenさんは、「米国債CDSはBondの元本や利息の支払いにのみ着目しており、他の債務の支払いには着目していないので、仮にBond以外の支払いが遅滞してもCredit Eventには該当しないだろう」と答えていました。
CDSのCredit Eventには、ローン契約でたまに見かけるような「その他相手方に重大な信用不安があるような場合」というキャッチオール的な期限の利益喪失事由は入ってないんですね。
3 Grace Periodについて
通常の民間債券のGrace Periodが30日程度なのに比べ、国債のGrace Periodは3日とか短いケースが多いみたいですね。ケースバイケースではありますが。