Connecting the Dots

米国証券法、デリバティブ、香港証券市場について学んだことを書いていきます。当ブログは法的アドバイスを提供するものではありません。ブログ中の意見にわたる部分は個人的見解であり、私が所属する事務所の見解を述べるものではありません。

点心債(Dim Sum Bond)の特徴

アリババが熱いのでEquityばっかりの記事になっていますが、今日はDebtについて書きたいと思います。

香港でのDebtによる起債で有名なのは点心債(Dim Sum Bond)です。

点心債というのは、香港で発行される人民元建て債券のことをいいます。オフショア人民建て債券(本土以外での人民元債券)は、香港以外でもシンガポールやロンドンなどでも発行されており、人民元のオフショア起債の中でも特に香港での起債が点心債と呼ぶようです。

点心債の今後ですが、香港以外にもオフショア人民元債を起債する国が増えてきたことと、上海の自由貿易試験区の開始により、香港における点心債の起債規模も減少するのではないかと言われています。

この点心債は以下のような点に特徴があります。

メリット

①起債に当たって、中国当局の許可が不要

②中国本土で起債するよりも、低コストで資金調達ができる

デメリット

①多くの発行体において格付けがなされていない

発行体において監査報告資料以外の情報がないため。

②大半の点心債の償還期間は3年未満と短い

③点心債のリテール投資家はSFCの許可が必要なため、リテール投資家はあまりいない。適格外国機関投資家がほとんど。

日本のリテール投資家が目にする点心債は、ほとんどが証券会社がリテール投資家の代わりに投資する、投資信託が多い。

④調達した人民元の中国本土への送金については、為替管理局などの規制当局の承認を求める必要がある

⑤香港証券保管決済機関が源泉税の免除について証明書を発行しない