Connecting the Dots

米国証券法、デリバティブ、香港証券市場について学んだことを書いていきます。当ブログは法的アドバイスを提供するものではありません。ブログ中の意見にわたる部分は個人的見解であり、私が所属する事務所の見解を述べるものではありません。

香港における動産担保

香港における動産担保の取り扱いについてよくまとまったサイトを見つけました。

1 香港における動産担保

香港法における動産は、機械類、棚卸資産や船及び飛行機が含まれます。

担保の取り方について、整理すると下記のようになります。

担保の種類

性質

対抗要件

Legal Mortgage

占有については担保権設定者、所有については担保権者が有する。担保権設定者は、被担保債権を弁済することで、所有権を受け戻すことができる。担保権者は、債務不履行があるまで占有を取得することができない。

会社法条例により権利発生から5週間以内に会社登記(Company Registry)をする必要がある。5週間以内に登記しなかった場合には第三者に対抗できない。

※機器類についてはネームプレートを付けるのが実務

※航空機については航空局に通知及びネームプレート

※船については船舶登記する必要あり

Charge

所有権及び占有は担保権者に移転しない。担保権者は、借入人が債務不履行に陥った場合に、担保資産の売却金に対する権利を有する。

会社法条例により権利発生から5週間以内に会社登記(Company Registry)をする必要がある。5週間以内に登記しなかった場合には第三者に対抗できない。

※機器類についてはネームプレートを付けるのが実務

※航空機については航空局に通知及びネームプレート

※船については船舶登記する必要あり

Pledge

(質権)

担保権者への占有の移転を伴う。担保権者は、設定者が債務不履行になった場合、担保資産を売却できる。

担保権者への占有移転

Lien

(先取特権)

被担保債権の弁済がなされるまで、他人の動産を留置することができる権利。Pledgeとの違いは、担保権者が動産を売却できない点にある。

担保権者への占有移転

 

2 香港における登記検索

香港の会社登記に関する一般的な情報はこのサイトから、そして香港で登記された会社はこのサイトから検索できます。詳細な情報を求めない限り、料金は基本的にかかりません。

日本は会社が設定した担保は会社登記簿には記載されませんが、香港においては会社登記簿にどのような担保が設定されているか記録されています。

すなわち、会社の名前さえ分かれば大方の設定担保についてリサーチが可能です。

日本で会社のDue Diligenceする際に、いちいち会社の登記簿だけでなく保有している資産を洗い出して、資産ごとに登記がついているか否かを確認する必要があるのと比べると、大分効率のよいシステムな気がします。日本の登記システムも、会社登記に設定担保を関連付けてほしいです。